Mostly, this is diary.
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revenge
revenge

悔しい。
許せない。
許すものか。
おそらく好きだからこそ、なおさら許せないのだろう。

19才の私は仕返しを思いつく。
相手は2つ下の高校生。

仕返しは相手に与えるダメージが大きければ大きいほど、やがて何らかの形で自分に戻るダメージも大きいだろう。
ただ、仕返しが社会的に相手を苦しめるものであってはならない。
相手の社会的な立場までは奪いたくない。
この人には家族があるから。
この人のお母さんはこの人にとても優しい。
お母さんからこの人を取り上げるわけにも行かない。

どうしたらいい?
結局自分に戻ってくるダメージなら、私は私に罰を与えればいい。
もし本当にこの人が私を好きなら、この人から私自身を奪ってしまうというのはどうだろう。
そんなことをしても悲しんでくれるかどうかはわからないけど。
それまでにきっと約束も果たしてくれるだろう。
それを見届けてからなら、きっと私は後悔しないのではないか。

どうしたらいい?
そうだ、あのことがある。
新凱旋門の話。
あれを利用すればいい。
今、あの手紙あれに加筆すればいい。
場所がフランスなら文句はない。
眠る場所がヨーロッパのどこかなら、日本にも戻ってこなくて良くなる。
きっともう永遠に会うことはないだろう。

泣きも笑いもしないで、ただ相手に渡せばいい。
少年は居間のガラス戸の前に立っていた。
なんだか少し泣いたような顔をしていた。
憔悴してるようだった。

今、この憔悴しきった少年を罵倒すればそれで話は済むのかもしれない。
いえ、必要なら全面的に争うこともできる。
でもそうしたら失われた物が元に戻るのだろうか。
未来が変わるのだろうか。
あれだけの警告を無視して起きたことなら変えようがない事実だったのかもしれない。
運命だったのかもしれない。

「ここにの1通のエアメールがある。これは出す予定の無かったフランスへの手紙。書くだけ書いて出さないでおこうと思ったけど、今日の事で出すことに決めたの。
これを君に預ける。日付を指定すると、未来の投函も可能らしいよ。やってみる? でも出すときは慎重に考えてね。」

「どうして俺にこんな物を預けるんだ?」

「これから丁度ここから出て帰るんでしょ? 封は、まだしてないから。それにこれは捨ててもいい手紙なの。事実とは全く異なる内容が書いてあるから。効果的に投函して仕返しに使うこともできる。」

「俺には意味がわからない。俺を利用しようとしているのか?」

「いいえ。ここには私の名前しか書いてない。さわりたくないなら何かに包むか、袋に入れればいいだけのこと。」

「じゃあ、どうして俺に頼むんだ?」

「だから、これからここから出て帰るんでしょ? ちょうど良いじゃない。私にはわからないから、捨てても良いし、これを投函しないで自分の手元にとっておきさえすれば、私が何か悪いことをしたとき自分を守る証拠として裁判何かの時に有利になるから。」

「読んでも良いのか?」

「いいよ。読むならしっかり読んだ方が良い。そしてその意味を繰り返し、繰り返し考えた方が良いと思うよ。」

「何かあるんだな...」

「そう。説明してもわからないから言わないだけで意味はいつも必ずあるの。」

「俺に不利なことは何もないんだな。」

「ない。私に不利なことはあっても、君に不利なことは何もないよ。利害が一致すれば別だけど、それもないから。」

「じゃ、出す。」

「何も考えないでいきなりだ投函しないでね。まだ時間はあるから。」

「意味深だな。俺はお前が俺に仕返しをしそうな気がするんだ。」

「ある状態に陥ればそういうこともあるかも、でもたいしたことじゃないよ。だってお互い嫌いじゃないんだもん。そうでしょ?」

「...そうだ。俺はどうしたらいいんだろう。」

「よく考えてね。で、私はどういう結果になっても文句は言わないから。」

「よし。じゃ預かる。でも俺を騙したら許さないからな。」

「騙してはいない。よく考えろとはいったけど。これは騙したことにならない。」

「じゃ、いらない。返す。」

「じゃあこれ、テーブルに出しておこう。そしたら母が投函すると思う。」

「...じゃ、そうする。」

「...おかあさーん! あのねーっ...」

「...待て、やっぱ俺が預かる。」

私の記憶はここでとぎれる。
彼はその後預かって破るといって、背を向けた。
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