Mostly, this is diary.
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三保の松原は静岡県静岡市清水区の景勝地。
羽衣伝説の舞台で、天女が舞いおりたとされる羽衣の松と呼ばれる樹齢650年の松がある。
付近の御穂神社に羽衣の切れ端が保存されているという。

あれは7才の頃だったかな。
日本昔話が好きだったせいか、ここへ出かけると聞いたときはとても嬉しかった。
行楽の混雑や渋滞が嫌いな父が家族を連れて出かけることはほとんどなかった。

三半規管が弱いせいなのか、私も妹も車酔いしやすい性質だった。
出かけると妹の具合が悪くなり、母と妹は途中下車して家に帰っていった。
私は帰宅する母と妹と別行動をしても、三保の松原へ行きたかったのだろう。
父と私だけが一路静岡へ向かった。

現地へつく頃には、私もしっかり車に酔っていた。
目に映る松原が美しく気持ちのいい場所に思えて、吐くのを我慢していた。
砂浜と風流な松林。
松林は砂防のために植林されたのだろうと父が言った。

なんだ、天女はそんな実用的な松にうっかり服をかけておいたんだ。

車窓から、『ソビエトの恐竜展』の看板が見えた。
どこか近くで恐竜展をしているらしい。
恐竜は興味深い絶滅種だった。
家にある図鑑で、恐竜の種類はほぼ全て暗記するくらい見ていた。
ここで布石をうっておかねば...。

「あー。恐竜展やってるよ。いいなー。」

後でな。
父にそういわれた。

駐車場に車を止めて、その辺りの何処かで吐いたかもしれない。
嘔吐すれば気分は良くなる。
父のことだから、飲み物を買い与えてくれただろう

「わー! 海だー。」

海の無い場所から、海に出ると感銘しないわけにはいかない。
ゆるい波の音と潮風。
私はいくつになっても海が好きだった。

水際で波と戯れる。
波を追いかけては逃げる遊びに夢中だった。
父は用をたすために私の傍を離れた。

ふいに風景がぐらりと揺れた。

「そら、海に投げちゃうぞー。」

両脇を手で持って後ろから抱き上げられたのだ。
ありったけの悲鳴をあげるて下ろしてもらうよう懇願する。
人間の仕業だ。

「何するの?!...お父さ、ん?」

見ると父ではない人物が2人、自分の後ろにいた。

「叔父さん誰?」

2人は笑いながらいう。

「叔父さんはないよなあ。まだ2人とも若いんだ。」

「この子から見れば俺達も叔父さんになっちゃうのかな。」

無情に私は思う。
十分叔父さんだよ。
困ったな、お父さんどこかな。

「君、ひとりでいたら良くないんじゃないか?」

「お父さんどこなの?」

「あっち。すぐ来る。」
むくれて父の言ったほうを指差す。

おじさんたちとは暫くお話した。
確か...何かを書く仕事の人と建築をつくる人だったように思う。
父が帰ってくると、若い叔父さん達の話をして自分を置いていったことを咎めた。
ついでに恐竜展にもいった。

水際から男の子が1人ついてきた。
明らかに小さいので年下だろう。
賢そうな顔立ちをしていた。

中で恐竜を見て歩いていると、その子が珍しそうにこっちをじっと見ていた。
子供の両親に声をかけて、この子は賢そうだから良い大学に行かせるといい。
と偉そうに説教した。
ところが、どうも子供の両親は日本語に変わったイントネーションがある。
外国人のようだった。
意図したことが伝わったかどうかはわからない。
少年は通訳していた。

あの子は東大にいっただろうか。
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