Mostly, this is diary.
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誰かが呼んでる。
忘れてしまった携帯データを消した後だった。
ある女性にから連絡が入った。

私はその人を知らないように思ったのが、彼女は私を知っていた。
著書もあるというのでインターネットで調べると確かにある。
嘘ではないらしい。
もとより彼女の様子は必死だった。

「息子が結婚するって言うんです。ぜひいらしてお話を聞いていただけないでしょうか?」

「あのう、聞いてもいいですけど。私自身まだ結婚していないんです。お役に立つとは思えませんが?」

「私は早まったと思うんです。お願いです。来てください。」

「...いえ、あの、大事な息子さんなんでしょうが...早まったかどうかなんて、私にはわかりません。ちなみに息子さんはおいくつですか?」

「30超えています。会えばわかります!」

「早まってはなさそうですね...。」

「何を暢気に! 来てくれるんですか? くれないんですか? こんなにお願いしているのに。」
彼女の勢いは衰えることを知らない。
よっぽど切羽詰っているのか...。

「...わかりました。行きます。じゃあ、電車だと1時間に1本なんで待っていられませんから、友達の車で一緒にそこへ行きますから。そこはどこです? 国道わかります? じゃ、お手数ですが国道まで出ていてください。服は何色の服をお召しになってます?」

「ベージュのスーツです。」

暑い日だった。
窓を開けると車体の横から、アスファルトの熱気で焼けそうだった。
埃っぽいR153を走っていくと、呼び出された場所で本当にその女性は私を待っていた。
関係あるのかないのか大勢の人が彼女の周りにいた。

「ごめん。ちょっと路肩に止めて。」

友達は驚くが、素直に左によってハザードを出してくれた。

「こんにちは。お久しぶりです。」
話しながら私は車を降りる。

「お元気そうね。私がわかりますか?」

「ええ。多分...。お元気そうで何よりですね。それで息子さんはどちらに?」
会えばわかるというのは、息子のほうなのか...。

「一緒に来ています。向こうにいます。」
東の方向を指差す。

「わかりました。何ができるかわかりませんがお話してみましょう。」

1級河川の程近くに大きな橋が架かっている。
川向こうに大き目のバンが止まっていた。
御曹司はバンの中で下を向いていた。

踏切りのほど近く、smartがゆっくりと停止線の手前で止まる。
左ハンドルのため、右に腰掛けた私はゆっくりと話し相手を眺めることができた。
お母さん心配させちゃって...でもいいお母さんだよな~。
でも、お母さんのほうが心配性なのかもな。
スライド式のドアが両側前回で、後部座席の前のほうに腰掛けていた。

「あっち~っ。暑い!! 暑くない?!」
私は誰とも無く大声で話し出した。

ううん。
御曹司は否定した。

「暑いよなぁ。暑いものは暑い。そりゃどっか都心から来てれば暑くないかもしれないけど、私は標高1000m以上のところから来てるから、死にそうだ。」

ふうん。
御曹司はなんとなく頷いて見せた。

その調子で声の無い会話をしばらく続けることになる。
御曹司は面白い人で、話の途中腰を転んで見せたり動いて見せたり、少しも飽きること無かった。

「おお、名優だ。名優がいるぞ。盟友でもいいけど。」

「どこどこ?」
隣の友達は私が1人で喋るのを不思議そうに見ていたが、私が顔を覗かせていた窓を自分も覗き込んだ。

「いたか?」

「誰もいないよ?」

「お前の目は節穴だな? 認めろ。」

「節穴じゃないよ。でも、誰もいないよ。」
友達が顔を引っ込めると、御曹司は肩を揺らして笑い出した。

「きっとな、見たい人にしか見えないんだ。」

「ふーん。ここ暑いよっ。」
大人しい友人は多少腹を立てたようだった。
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