Mostly, this is diary.
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お前はこれからどうしたいんだ?
幸せになりたい。
駄目ならせめて記憶を取り戻したい。
幸せだったときの記憶。


2006年7月。
私は夢遊病を患うかのようにオランダの夏を過ごしていた。
卒業を終えて式も狂ったようなパーティーアフターパーティも終わった。

疲労と虚無感とで何もはかどらなかった。
ポートフォリオと帰国の準備をゆっくり始めた。

後は私は招待された家主さんのご友人に招待されたベルリンに行くこと。
できたらもう一度フランスに行くこと。
ポートフォリオを仕上げる。
チケットを確実に取ること。
他には何も無い。

スタジオはもぬけの殻だった。
ほとんど人影も無い。

ふらっと黒髪の背の高い人影が入ってきた。
背の高くないりんご君の傍に立つ。

「何だ。思ったより元気そうじゃないか。俺は間に合ったのか。」
そんな声が聞こえてきた。

私はただ虚ろにノートの前で作業する。
どうして大きい声で言う必要があるのだろう...

「何とか言えよ!」

うわ、びっくりした。
...背の高い彼は、ああどこかで見たことがある。
あれは名残雪の降った頃に来たりんご君のお知り合い。
私もお話した。
そんなふうに怒るの止めて欲しい。
私、今とても疲れてるから。

なんとなくいたたまれなくなって席を立って、スタジオを横切る。
背の高い彼に声をかける。

「こんにちは、前にお会いしましたよね。りんご君のお知り合い、でしょう?」

彼の顔にそれとみて取れる失望が浮かんだ。

「...また忘れたのか?」

「あ、何か違った?! ごめんなさい。お話中だった?」

何か悪いことをしたような気がして謝った。
そのくらい彼の顔に表れた失望は顕著だったのだ。

「あの、少し前に私すごく強いショックを受けてそれから少しおかしいみたい。もし、何か変な事言ってるようだったらごめんなさい。」

私は逃げるようにその場を立ち去ろうとした。

「...お前はマトモだ。でもこれ以上俺のことを忘れないでくれ。俺が何をしたんだ?」

その人の表情は真剣だった。
嘘だとは思えない。
私はきっと、この人知ってるんだ。
きっと、私が何か忘れてるんだ。

「何も。何もしてないと思う。...ごめんなさい、あなたは嘘を言ってると思えない。でも、これ以上何も話せない。話せばきっとつじつまが合わなくなるだけのような気がするから。ごめんなさい。」

「いいから。...さっきショックを受けたって言ったな。何があったんだ。」

「...内輪の話だから。」

「いい。お前の気が済むまで話してみろ。」

「...はい。学校のこと。きっとみんなにはなんでもないことなの。ただ私はショックで...」
頭が軋んで、霞む。
記憶が朧だ。

「いいから言ってみろ。何があったんだ。」

...その人ははっきりとした声でいった。
でもひどく悲しそうだった。
ものすごく嫌な記憶、でも思い出さねば。

「わかった。まって。え...と...」

あれは、隣のガラスの建物でパーティがあった夜。
学校の子が3人でそこに住んでる。
パーティーがあると皆出かけていくから、スタジオに人はほとんど居なかった。
ここで残ってたのは私とりんご君。
でも、私は最初から残ってたわけじゃなくて、ガラスの建物は有名なので写真に収めたかった。
パーティーはいい機会だったの。
それで飲み物も飲まないですぐ戻ってきた。
パーティーには私に意地悪するであろう子達がいたから、嫌だったのね。

自分は写真も撮って、さっさとスタジオに戻ってまた作業してた。
そしたら酔っ払った学生がパーティーから帰ってきた。
仲のいい子で、普段からとても優しかったんだけど...
みんなこの時期はストレスが多い。
去年も今年もそれぞれいろいろあったんだけど、その時も嫌な事があったんだよね。
仲の良かった酔っ払いの子にね、ちょっと理不尽な事を言われたの。
前にもちょっといわれたことがあったんだけど、酔った勢いで...。
ま、それで返り討ちにしようとして、逆にお説教したの。
そしたらこれが頑固で聴かない。

帰ればいいのにりんご君も帰らないでずっと話を聞いてた。
どうしてかわからないけど。
そのうち、りんご君まで話に参戦して、酔っ払い君とわからないこと言い出した。
三つ巴状態になって、さんざんもめて幸いお互い大きな被害は無かった。
まあ決着はついたの。
...小さな被害はキスしたくらいかな。

「わからないことってなんだ?」

「...やらせろって言われた。」

「なんだ。そんなことか。そんなことくらいで俺を呼ぶなよ!!!」
背の高い彼は私とりんご君を見比べてながらあきれたように言った。

「え? 私呼びました?」
おかしいな。
私、背高君の連絡先知らない。

「呼んだのはこいつだ。」

「呼んだのは俺だ...少し違うぞ。っていうか、だいぶ違うぞ?」
りんご君はそういいながらもずっと下を向いていた。

「ほんとうにそれだけか? それだけなんだな?」

「はい。」
私は素直に答えた。
嘘ついて隠すようなことはないし。
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