Mostly, this is diary.
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
猫と鰹と煮干

その猫は北新宿の道端で泣いていた。
街灯の明かりで猫の毛並みはしぶい茶色にも落ち着いたピンクにも見えた。
若い背の高いお兄さんと小柄な伯父さんの人影が、足下で鳴く猫を見下ろしていた。

おもむろに、でもゆっくりと猫が動いた。
猫は小柄な伯父さんに近き、フンフン臭いを嗅ぐ。
伯父さんは猫の鼻先に何かを与えた。
ピチャピチャと舐める音。

「よしよし、この猫は鰹が好きか。」

ミャーゥ

猫は伯父さんの足にまとわりついて満足そうな顔をこすりつけた。
すぐゴシゴシに飽きると何をくれるのか楽しみのような顔をして伯父さんをじっと見返す。

「猫、こっちおいで。お前は俺の猫だろ?」

若い男の人はそういって猫の頭を撫でた。
俺の猫って、飼い猫か。
飼い猫なのに名前ないのかな。
へんなの。

猫も猫で飼い主が何もくれないのを知っていて、伯父さんになついたまま動こうとしない。
飼い主の若い人は猫に指をちらつかせた。
猫はひらひら動く指に興味を示し、目で動きを追う。

「痛!」

飼い主の指は猫の前足攻撃に襲われた。
続いてピチャッと舐める音がした。
指、猫に舐められてるのかな。

「犬に煮干しをやると喜ぶけど、やっぱ猫も喜ぶんだな~。」

「..そりゃ、猫だからな。」

煮干?
道端で鰹に煮干??
夕暮れの暗くなったばかりの空の下に佇む二人の会話は長閑だった。

ゴロゴロ...
猫は満足したのか喉を鳴らして丸く座り込んだ。
小柄な伯父さんが膝を落として、また猫の鼻先に何かを与える。
猫は少し迷惑そうな顔をして横に体を倒す。
でも、伯父さんは諦めずに猫に何かを与えようとする。

ミャゥ

小さい抗議の後にまた猫が何かを口に入れたようだ。
飼い主の若い男は横になったまま無心に何かを頬張る猫を見て言った。

「...俺は鰹が嫌いになりそうだ。」

仲良く同じエサやればいいのに...。
お終いに猫は伯父さんのシャツに飛びかかり、その裾を加えて思い切り引っ張った。
猫の飼い主も伯父さんにヤキモチでも焼いたのか、猫と一緒にシャツを引っ張っていた。

「こらっ、儂の(シャツ?)をしまうなっ!!」

え?
どういうこと?
不意に二人の前に巡査が顔を出して声をかけた。

「あなた方はさっきから一体何をやってるんですか?」
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。