Mostly, this is diary.
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「もうあってるはずなんだ...。」
ため息をつくかのように彼は静かにそう言った。

「えっ? そういえばっさっきそこで『カレシノ伯父さん』とかいう人に会った。...すぐそこでっ! 変な名前、でしょ?」

「お前,,,それ俺の伯父さんだぞ。」

「えええぇっ?!?! 私は変な伯父さんかと思って置き去りにして来ちゃった...。」

いかん!
まったりしてる場合じゃなかった。
顔から血の気が引いた。

「お前が会いたいって言ったんだぞ? 大丈夫かと思うけど、失礼のないよう挨拶してくれたんだろうな。」

「どうしよう。『変な叔父さん』だと思ってたから、とても失礼な挨拶をしたと思う。どうしよう! しかも、置き去りっにしてきた。」

「迷い子になるようなことはないと思うけど。責任は取って貰うぞ。」

「迎えに行ってくる...。」

確かめなくちゃっ。
慌てて路地から走って飛び出そうとする。
焦ったその瞬間、バケツから水をかぶったようなショックが襲った。

「おっ、なんだなんだラブシーンか? しかもなんだ? 有名人かっ?!」

わああぁっ
また小柄なオジサンだ...さっきのオジサンか?!
オジサンがさっきまで私の歩いていた辺りから、路地を覗き込んでた。
ど、どうしよう。
やっぱただの変な人だったのかもっっ?!

「ち、ちがいます。有名人なんかじゃありません。人違いですっ。」

「怖がってるのか? さっきと様子が大違いだな。」

わあああぁっ
なんなんだ?!
やっぱ、さっきのオジサンなのか?
どっちにしても変なオジサンだあっ。

「このオジサン、自分の伯父さん? なんか君よりだいぶ小さいんですけど?」

「お前... かなり失礼な事をいってるぞ? 大丈夫か?」

ええっ?
この人...私の味方じゃないの?

「...。私、知らない。道を聞かれただけ...。私には彼氏もいないし、ラブシーンもしてない。わけわかんないっ。」

はぁぁっ。

これしかない。
この状況を一旦リセットせねば。
頭と心臓がパニックしてる。
オジサンはこっちをじっと見ていたが、まっすぐ北方向に去っていった。

ああ、こわかった。

「かばってくれたのか?」

「よくわからない。けど、こわかった。」

さめやらぬ興奮が渦巻いている。
頭は混乱してる。

「落ち着け。落ち着いたら良く聞け。あれはな、さっきのオジサンはな...」

「うん...うん...。」

「あれは俺の伯父さんだ。」

...なんてこった!!!
本物かよ。
そんなのないよ~っ!!!

「ええ~っっ...そうなのっ?! 嘘だよね? 嘘だって言って? どうしよう...追い払っちゃったよ。...暗くてわからなかったよ~。」

「なんとなく俺の伯父さんかな、とは思わなかったのか。」

「ん...実は向こうで話してるとき、少しだけ伯父さんかもと思ったけど、同時にまさかね...って思った。顔が『本人そのもの』だった。でも伯父さん怪しかった。」

「そうか。怪しかったんだな。」

「そう。今ももっと怪しくて、今度はやばい人かと思った。」

「どうしよう。探してくる。」

「いいよ。その辺にいるよ。」

「なんでわかるの?」

「どこにも行かないと思うんだ。俺は。」

その人の手を振り切ると、私は暗い路地を出て伯父さんが消えた方向を見た。
影も形もなく、相変わらず薄暗い道が静まりかえっていた。

「いない。いなくなっちゃった。」

「そうか。」

彼はそんな事、まるで気にもかけていないようだった。
私は微動だにしない彼の元に戻った。

「せっかく来てくれたのに、伯父さんに悪いことしちゃった。今日、もう会えなかったらごめんなさいって伝えてね。」

その人はまた私の手を取って自分に押し当てた。
暖かいな。
何かどこかおかしくなりそうだ。
私の足はゆっくり力が抜けて、冷たいアスファルトに膝から崩れ落ちた。

一緒にいた女性はじっと黙っていた。
余計なことには一切口を出さない、母とはこうあるべきなのだろう。
彼女はアスファルトに座り込むようにしている私を見て言った。

「まさか、また...。」

彼女は踵を返すと私のいる路地ではなく、少し広い伯父さんの消えた通りの方を向いた。
私の頭の芯は熱を持ったように熱かった。
熱は高い方から低い方へ流れる。
きっと彼から熱を奪ってしまったんだ。
足が冷たいはずなのに何も感じない。
疲れたんだろうな。

「伯父さんどこへいちゃったんだろうね。」

「そんなに伯父さんの事が気になるのか?」

「だって申し訳ないもの。きっと忙しいのに。」

「俺だって忙しいんだ。」

「ごめんなさい。でも私、せっかく来てくれたのに伯父さんにはマトモに挨拶もしないで怒鳴って追い返しちゃったから。」

「じゃ、自分で謝れ。挨拶しろ。」

「だってどっかいっちゃった。」

「まだ、その辺にいるかも知れないぞ。」

「...へ?」

「お前の後ろに...。」

妖怪か?
それとも怪談か?

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