Mostly, this is diary.
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ときそば
近頃の日本人観光客は一頃ほどではないにしても、どこに行ってもいますよね。
今、時代は韓国人や中国人観光客で溢れてもいますから、2003年にギリシャじゃどこへ行っても『アンニョンハーセーヨ』ばっかりでしたよ。
え? 何ですって?
にゃあにゃあって、あたしゃ猫じゃござんせん。
それはお隣の国のご挨拶でございましてね。
いえ、いいんです。
なんでもないです。

ま、なんですね。
外国へ行きますと日本人同士で必ず言うんですよ。
『日本食が食べたいねぇ。』ってね。
お寿司に刺身。
でもこれじゃどうも魚ばっかりで生臭くってどうもいけません。
他に何があるかって?
天ぷら?
日本に初めて来た外国人じゃあるまいし。
え? 私ですか?
そうですね。
蕎麦はいかがでしょう。

いえ別にね、私が日本で有数の蕎麦どころの出身だからってわけじゃないですよ。
でもね、更級だの戸隠だのみんな私の故郷から来てるんです。
みんな出ていったっきり帰ってきたことなんかないですけどね。
どこいちゃったんでしょうね。
あ、そう。
東京にも。どうりで混み合うわけですね、都会ってのは。

ま、こだわり出せば粉を打って捏ねて切っただけの単純な食べ物も奥が深いんです。
薬味に蕎麦湯(そばゆ)にいろいろあるんです。
でもね、何がおもしろいってお勘定なんですよ。
ほら、高校生だか大学生のアルバイトがレジで、
『1980円になりま~す。』とか『2100円になりま~す。』
かわいいじゃありませんか、ねえ。
あ、いえ、すみません。
そうじゃなかった。
あのね、お勘定はお勘定でも江戸時代のお勘定のお話でした。
銭はね、こうひとつひとつ数えながら台に置くんですよ。
ひとつふたつって。

これね、意外とトレンディ。
レジが日本のと違って旧式のせいか、ヨーロッパは未だに釣りを一枚一枚数えながら手のひらに渡すんです。
ヨーロッパに行くか、江戸時代にタイムスリップした時の為に覚えておいてください。
銭は一枚一枚数えながらってのがいいんですよ。

蕎麦屋でどうするかって、こうするんです。
『よう、やってるかい』ってんで親父に声かけて、親父が
『へえ。』って返事したらすかさず、
『いつものくんねえっ。』って頼むんですよ、蕎麦を。
間違ったって古女房や死神なんか頼んじゃいけませんよ。

まあ、そうこうするうちに食べ終わるじゃないですか。
『いくらだい?』って親父に声をかければ、愛想が良いんだか悪いんだか普通に
『へえ、8文です。』って答える。
そこであせっちゃいけません。
懐から銭を出してね手にしっかりと握ってくださいよ。
さあ、台に並べるんです。

『ひとーつ ふたーつ みっーつ よーつ いつつ...』

どうです?
腹もくちくなって、お客は思うんですよ。
ああ、いけねえ約束があったなって。
家には何時に帰らなきゃならなかったかな?
ここでね、このお客は時間を聞くんですよ。
『今、何時(なんどき)だい?』
親父はね、またこれがあっさり答えるんですよ。
『へえ、むっつです。』
『ありがとよ...ええ、いくつだったかな? ななつ、やっつ。じゃ、また来るよ。』
あ、急いだ客ですね。
もういっちゃった。
気がつきました? そう、一文足りないんです。
何のために数えてるのかって?
さあ、昔の事はわかりません。

どういうわけか、この客翌日また店に同じように顔を出して同じ注文をするんです。
同じように食べて、同じように値段を聞く。
覚えていないんですかねぇ。
昨日の今日で値段が変わるはずもないし、柳家さんや古今亭さんよりお安いですから値段を確認したいからでしょうかね。
さ、また銭をおもむろにとりだして数えるんです。

『ひとーつ ふたーつ みっーつ よーつ いつつ むっつ... 今、何時(なんどき)だい?』

『へえ、いつつです。』

『ありがとよ...ええ、いくつだったかな? むっつ、ななつ、やっつ。じゃ、また来るよ。』
ああら、いっちまいましたよ。
忙しい客ですね。
ええ、今度は一文多く置いていったんです。
お釈迦様が見ていたんですかねえ、それとも見ていないような親父が見ていたんでしょうかねぇ。
それとも客が済まないと思って、返しに来たんでしょうか。
私にはわかりませんが、どんぶり勘定ってのは確かですね。
ええ、蕎麦はどんぶりで出されますから。

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